これ重要!投資信託の分配金再投資(その2)
<投資信託の分配金再投資その2とは?>
この章では、分配金の再投資その2について説明します。
Q)えっ?その2?前章で分配金再投資の効果はじゅうぶん理解できましたが・・・。ほかにもっと再投資の効果があるんですか?
A)再投資にはすごい効果がありましたよね!実はほかにもあるんです!効果が。それは・・・効果は効果でも「逆効果」のことです(笑)!それを説明します。
まず、再度おさらいしますね。
- 分配金・・・投資信託の運用で得た利益を、分配金として受け取ることが出来ます。投資信託の種類によって、分配される金額・回数はそれぞれ違います。
- 口数・・・・投資信託の取引単位であり、基本的に投資信託は口数で管理します。10,000口 が基準単位となっております。
- 再投資・・・運用で得た利益が分配されますが、現金で受け取らず、再度その分配金で投資信託を購入することです。それにより、口数が増えます。
以上を踏まえ・・・
分配金の再投資その2とは
何をその2と言っているのかというと、再投資は再投資でも、基準価格が下がった状態で再投資をすること、それをその2と呼んでいます。
Q)下がるってことは、つまり再投資しても損するってことですか?
A)損とは意味が違うのですが、簡単に言うと、分配金が出たとき、基準価格が安い状態で買い増しするってことです。
例えば、下記の投資信託を 100,000円 分購入し、再投資した場合で試算してみますね。
- 種類 株式ファンド
- 基準価格 11,500円
- 手数料 3.24%
- 分配回数 1回
- 分配額 500円
商品分析5項目の後、まず何をするか、わかりますよね!そう!口数を出すのです。
◯ 投資額 100,000円 - 手数料 3,240円 = 実質投資額 96,760円
◯ 実質投資額 96,760円 ÷ 基準価格 11,500円 × 10,000口 = 84,139口
<基準価格が 12,000円 のときに再投資した場合>
基準価格が 12,000円 の時、再投資しますので、まず分配金はいくら出たのか?その金額を出す必要があります。
◯ 分配額 500円 × 84,139口 ÷ 10,000口 = 分配金 4,206円
この 4,206円 で、今の基準価格 12,000円 に対して何口買えるか(何口再投資できるか)計算します。
◯ 4,206円 ÷ 12,000円 × 10,000口 = 3,505口
再投資の結果、こうなります。
◯ 84,139口 + 3,505口 = 87,644口
<基準価格が 10,500円 のときに再投資した場合>
基準価格が 10,500円 の時、再投資しますので、まず分配金はいくら出たのか?その金額を出す必要があります。
◯ 分配額 500円 × 84,139口 ÷ 10,000口 = 分配金 4,206円
ここまでは同じですが、ここからが違います。
この 4,206円 で、10,500円 の投資信託を何口買えるか(何口再投資できるか)計算します。
◯ 4,206円 ÷ 10,500円 × 10,000口 = 4,005口
再投資の結果、こうなります。
◯ 84,139口 + 4,005口 = 88,144口
もう何か気付きましたよね!
再投資後の口数比較すると・・・
基準価格 12,000円 の場合 87,644口
基準価格 10,500円 の場合 88,144口
基準価格が低いときに再投資したほうが、口数が増えるのです!
Q)じゃあ、基準価格が低いときに再投資した方が、口数が多くなるので得するんですね!・・・?ん・・・?口数は多いけど、基準価格が下がっているから・・・う~ん。どういうことですか?
A)混乱しますよね(笑)!わかりました。ここで冒頭で言った「逆効果」について、教えちゃいます。しっかり頭で描きながら聞いてくださいね!
分配金を再投資したときの流れ(逆効果バージョン)
慣れるために「商品分析5項目」を再度記載します。
- 種類 株式ファンド
- 基準価格 11,500円
- 手数料 3.24%
- 分配回数 年1回
- 分配金 500円
何回も言いますが、真っ先に口数を算出してくださいね。
◯手数料 :投資額 100,000円 × 3.24% = 3,240円
◯実質投資額:投資額 100,000円 - 手数料 3,240円 = 96,760円
◯口数 :実質投資額 96,760円 ÷ 基準価格 11,500円 × 10,000口 = 84,139口
基準価格が 12,000円 のときと 10,500円 のとき、この2つのパターンで比較します。上記で算出すたように、
◯再投資口数:基準価格 12,000円 のとき、3,505口
基準価格 10,500円 のとき、4,005口
◯口数 :基準価格 12,000円 のとき、84,139口 + 3,505口 = 87,644口
基準価格 10,500円 のとき、84,139口 + 4,005口 = 88,144口
以上を参照して、ここで「口数 × 基準価格 ÷ 10,000」で、これら2つの評価額(資産価値)を出します。
<評価額>
①基準価格 12,000円 のとき:87,644口 × 12,000円 ÷ 10,000口 = 105,172円
②基準価格 10,500円 のとき:88,144円 × 10,500円 ÷ 10,000口 = 92,551円
当初 100,000円 投資しているので、①は「+5,172円」②は「▲7,449円」
結果、基準価格が高い①のほうが儲かった?
(実は、ここにカラクリが・・・)
この再投資した時点で売却(解約)するなら、①が儲かったと言えます。
しかし!!!
投資信託は、ここで終わりではありません。ここからも運用が続きます。
ためしに3年後の結果を見てみましょうか。
3年後ということは、3回分配金を受け取ることができます。つまり、3回再投資できるということ。
3回の再投資の際、毎回基準価格が 12,000円 だった場合で試算します。
<基準価格が 12,000円 ⇒ 12,000円 ⇒ 12,000円 と推移した場合>
◯1回目(基準価格 12,000円)
500円 × 84,139口 ÷ 10,000口 = 4,206円
4,206円 ÷ 12,000円 × 10,000口 = 3,505口
84,139口 + 3,505口 = 87,644口
1回目の再投資で、87,644口 になります。
◯2回目(基準価格 12,000円)
500円 × 87,644口 ÷ 10,000口 = 4,382円
4,382円 ÷ 12,000円 × 10,000口 = 3,651口
87,644口 + 3,651口 = 91,295口
2回目の再投資で、91,295口 になります。
◯3回目(基準価格 12,000円)
500円 × 91,295口 ÷ 10,000口 = 4,564円
4,564円 ÷ 12,000円 × 10,000口 = 3,803口
91,295口 + 3,803口 = 95,098口
3回目の再投資で、95,098口 になります。
<3年後の評価額>
再投資の結果、口数が「84,139口 ⇒ 95,098口」へ増えたので
95,098口 × 12,000円 ÷ 10,000口 = 114,117円
<損益>
114,117円 - 100,000円 = 14,117円
再投資を繰り返した結果「+14,117円」でした。
次に、3回の再投資の際、それぞれ基準価格が変動した場合で試算します。
<基準価格が 10,500円 ⇒ 7,000円 ⇒ 12,000円 と推移した場合>
◯1回目(基準価格 10,500円)
500円 × 84,139口 ÷ 10,000口 = 4,206円
4,206円 ÷ 10,500円 × 10,000口 = 4,005口
84,139口 + 4,005口 = 88,144口
1回目の再投資で、88,144口 になります。
◯2回目(基準価格 7,000円)
500円 × 88,144口 ÷ 10,000口 = 4,407円
4,407円 ÷ 7,000円 × 10,000口 = 6,295口
88,144口 + 6,295口 = 94,439口
2回目の再投資で、94,439口 になります。
◯3回目(基準価格 12,000円)
500円 × 94,439口 ÷ 10,000口 = 4,721円
4,721円 ÷ 12,000円 × 10,000口 = 3,934口
94,439口 + 3,934口 = 98,373口
3回目の再投資で、98,373口 になります。
<3年後の評価額>
再投資の結果、口数が「84,139口 ⇒ 98,373口」へ増えたので
98,373口 × 12,000円 ÷ 10,000口 = 118,047円
<損益>
118,047円 - 100,000円 = 18,047円
再投資を繰り返した結果「+18,047円」でした。
損益比較すると、
「+14,117円」<「+18,047円」
評価額を比較すると
「114,117円」<「118,047円」
どちらも、3回再投資した3年後(基準価格 12,000円 の時)の評価で比べたのですが、なぜこんなに差がついたのか?これこそが、再投資その2のことであり、この章での結論になります。
分配金再投資その2の「逆効果」とは、基準価格が下がっても、あとあと逆に評価額が上がる効果があるということでした。
これが、再投資の面白さです。投資信託は運用中、上げ下げを繰り返します。下がったからと言って、不安にならなくても大丈夫です。再投資さえ継続していれば、あとあとその再投資が力を発揮してくれます。
最後に
どうでしたか?再投資その2の効果・・・分かりましたか?
この章では、基準価格が低いときの再投資は、口数が多く買えること(その②)をお伝えしました。
<要点はこれ!>
- 投資信託は、分配金再投資を繰り返すと、次々と口数が増え、しかも長い年月をかけて運用すると、複利効果で評価額が徐々に大きくなっていく。
- 基準価格が下がってもビビるな!基準価格が下がった状態での再投資は、口数が多く買える。基準価格が低い状態で口数を増やし、上がるのを待つのだ!
- やがて上がったとき、今までの口数を増やした効果が、爆発的に発揮するだろう。